の舞

 

 

 

 

   「お母様!」

 

   子どもらしい高めの声が聞こえる。

 

   「あらあら、そんなに急がなくてもいいのですよ?ほら、お父様もお兄ちゃんもまだ起きて来ていないのですから。」

 

    そうラクスは、たしなめながら作っておいたサンドウィッチを小さな我が子にも食べやすいようにと14に切り分ける。

その様子を先程母親のもとにとんで来た子どもが、自分専用の椅子に座りじぃーっと見ている。

その間にもラクスは黙々と、しかし楽しそうに作業を進める。

使ったナイフやお皿を片付ける、それらの作業が終ってもなお、自分の手元を見つめている娘を見てラクスは少し嬉しそうに笑った。

 

    「さぁ、プリシス。わたくしの隣にいらっしゃいな。一緒にこのサンドウィッチを詰めましょう?」

 

    幼い少女は、母親の言葉にぱぁっと表情を輝かせる。

小さい手で、あっちでもない、こっちでもない、と頑張っている姿はとても可愛らしくて…

いつまでも寝ている彼にも見せてあげたい、そう思った。

 

「お母様できました!!」

 

言葉通りバスケットの中にはきちんとサンドウィッチが並べられている。

ただ少し強く握りすぎていたのか所々中の具が飛び出してはいるが。

けれど彼女の満足げな笑みを見ると、そんなのもいいかと思えてくる。

 

「プリシスのお手伝いのおかげでとっても早く終りましたわ。ありがとう。」

そういってラクスは自分の娘の、自分と同じ色をした髪をそっと撫でた。

誉められた少女はとても嬉しそうに笑った。

 

そんな彼女にラクスも微笑み返した。

 

「さぁプリシス。いつまでも寝ているねぼすけさん2人を起こしてきてくださいな。『もうお花見に行く時間ですよ!』…と。」

 

少女は元気よく返事して、トコトコと走って行く。

 

そんな桜色の後姿を見て、言い表せない位の幸せを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとした親子ネタ。前から書いてみたかったのですよ。タイトルとあってないのは…こんなハズではなかったのですよ!!

でも、こんなことばかり…あ〜あと、名前はお友達に泣きついて()助けてもらいました。

考えて下さった理紅様と、“ぱちぱち”押して下さったあなたにありがとうございます、です。

 

 

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