まっすぐ背筋を伸ばして、コツコツと靴の踵を鳴らして歩く。
 
そしたらほら、少しでもオトナになった気分になるじゃない?
 
こんなお店に入っても、ヘンに思われないくらいに。
 
 
 
 
僕が望む永遠−No.00−
 
 
そんなことを思いながら、僕は以前、前を通った時にいいなと思っていたのを店内のガラスケースの中に見つけた。
 
ライトを浴びてキラキラ輝くのは、中央にアメジスト――彼女の誕生石――がはめこまれたペンダント。
 
まわりにはプラチナなどで細かい細工が施してある。
 
全体的に華奢な印象だけどそれがきっと彼女には良く似合うだろうと思って、ひとりクスクスと笑った。
 
 
「あの、お客様…。」
 
 
困った様な声が聞こえてきた。
 
 
「あ、すみません。これお願いします。」
 
 
声をかけられた店員に指を指して示す。
 
 
「申し訳ありません。こちらに置かせていただいているのは、サンプルのみでして。
 
今すぐお持ち帰りいただくことができません。後日とりにいらしていただくか、もしくは…」
 
 
その後に続いた店員の言葉に、彼は嬉しそうに笑った。
 
 
…ではそれでお願いします。」
 
「メッセージの方はいかが致しますか?」
 
「えっと、じゃあ…」
 
 
白地にワンポイント淡いピンクの花が描かれたカードを渡してもらって、少し考えてからペンを走らす。
 
 
歌姫ラクス・クラインに日頃の感謝と、心からの祝福を込めて
 
 
差出人の所は空欄で。
 
それでもわかってくれるんじゃないか、なんてちょっとした期待を込めて
 
 
「それじゃ、これでお願いします。」
 
 
ペンを置き、店員にカードを折り目通り二つ折りにして手渡す。
 
 
 
 
 
支払いを済ませて外に出るとそこは、眩しい位に明るくて。
 
 
少年の上にはなにもないただただ青い空がひろがっていた。
 
 
 
なにもかも吸い込んでしまう程にひろく

 

 

 

 

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