面倒なことになりましたね


まさか貴女が逢うなんて・・・


しかも名を聞いたとは


けれど私はまだ負けるつもりはない


そう、『最高の血統』を受け継いでいる君にね



老人が見上げた先には、星一つない漆黒の空が広がるのみ














Oneiromansy.3
















夜になってもまだ窓の外は騒がしい。


―――お祭り前というのは忙しいのですね。

けれどそんな忙しい時に、何故わたくしなどをお呼びになったのかしら


考えれば考えるほど深みに嵌りそうだったので、取り敢えず今は寝よう


そう思ってラクスはそっと目を閉じた。

















「いいかいラクス。よーくお聞き。」



どこからか懐かしい声が聞こえる。


それは昔、この世を去った師匠のもの。


身寄りのなかったラクスを育て、様々なことを教えてくれた。



「この世界には人ではないものもたくさんいるんだ。」


「幽霊とか、お化けとか?」



師匠の言葉に幼い頃の自分が答えた。



「どこまでソレと決め付けるのは難しいからね。

わかりやすそうな例えをだしてみようか。たとえば『狐』」


「狐・・・ですか?」


「あぁ、狐にも大きく分けて二種類いるんだ。

まずいつも獣の形をしているもの。これが普段我々が『狐』と呼ぶものだ。

よく人間にも化けるが、あまり長く持続しないし、基本的にはあまり縄張り争いとかも激しくない。」


「そうなんですか。」


「けれど・・・もうひとつ。いつも人の形をとり暮らしているものもいるんだ。」


「人の形を・・・?けれどそれにはとても大きな力が必要だと・・・」


驚いた顔のかつての自分に師匠はいった。


「そう、かれらはとても大きな力を持つ。勿論個人差はあるけどね。

その力はあまりに大きくて・・・だから人々は敬い、そして恐れる。」


そのときの自分は、師匠がなにをいいたいのか全くわからなかった。



「たとえどんなにその力が大きくても、恐ろしいモノでも、生きているならそのそれぞれに必ず心はある。

それを忘れるな。ラクス、お前の前に立つものがどんなものであっても・・・」



「師匠?」



いつも明るい師匠が深刻な表情を浮かべているのを見て、少し不安になった。



「・・・ラクス、いいかい?あの村には決して近付いてはいけないよ。

たしかにあの村を治める狐は代わった。あれには力も人望もある。

・・・だがまだ若過ぎる。相手は何千年と生きてきたあの古狐だ。

どれだけ太刀打ちできるかなんてわかったもんじゃない。

だから、絶対に近寄るんじゃないよ。一歩でも踏み込んでしまえば喰われる。」


しばらくして師匠はラクスを残して忽然と姿を消した。


もしかしたら、師匠は・・・
















そこでふと、目がさめた。


―――師匠が近寄るなと言った村。

それは・・・ココ。

だとしたら『何千年と生きてきた古狐』は・・・あの人。


―――でも、『喰らう』っていってもなにをするんでしょう?・・・頭から丸かじりとか・・・



そこで、ふとラクスは外がざわついてることに気づいた。


時計をみると朝の6:30。


開いたままの窓から生温い風が吹き込んでくる。




「太陽が闇に喰われる・・・」


―ーー不吉の兆し


ラクスは窓の外を眺めながら呟いた。









皆既日蝕  太陽が月によって完全に覆い隠される現象。








ふぅ・・・なんなんでしょう。
私書いててわけわからないコトばかりです。
ほら本とか読んでても、「この狐と山にいそうな狐とが同じ生き物なのか・・・?」
ー―って思うことあるじゃないですか。ね?
あくまで想像上、架空の話だとわかっていてもいいなぁと思うのです。少なくとも私は。
ということで、勝手に位置付け。

でも皆既日蝕。調べてもいまいちわかんなかった。
とにかく色々な条件が重なって起こる、貴重で凄いもんなんだな、と。
2009年には日本でも見れるようですし、楽しみだなぁ。


さて・・・『師匠』と書いて『センセイ』と読む。ロマンです!(?)





  
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