私は誕生日、というものを知りません。
ルック様もそれはわからないと言います。
けれど…私に今日、誕生日ができました。
My Birthday
「セラー」
声が聞こえたので私は部屋から出ました。
そこにはクリスが居ました。
私は何事かと思い、階下へ向かいました。
降りた途端にクリスに手を引かれ城の外にあるレストランへ連れて行かれました。
私はされるがままになっていました。
「どうしたんです?何があるのですか…?」
クリスは微笑むだけで答えてはくれませんでした。
「セラ!」
私はその声の方を向きました。
その声の持ち主は言うまでもなく兄様で。
「キョウ兄様。これは一体なんなんですか?」
キョウ兄様に聞いても微笑むだけ。
私一人が何も分かっていないようです。
なんだか…寂しいです。
「セラ」
兄様が手を引いて椅子に座らせました。
私は兄様をじっと見つめていたのですが、兄様は違うところを向いています。
「兄様」
「ん」
「何が始まるのですか?」
兄様はまた笑って誤魔化しました。
「揃ってるみたいだね」
「ルック、遅い!」
「仕方ないだろ、君が突然言い出したんだから」
ルック様はキョウ兄様と言いあいをした後、私の方を向いて言いました。
「セラ、今日は君の誕生日なんだってね」
「え…?」
私の、誕生日…?
「何故…」
私は自分の誕生日なんて知りません。
それにルック様もしらないって…。
ならどうして今日が私の誕生日になったんでしょうか。
「キョウが決めたっていってたよ」
「キョウ兄様が?」
しかし、何故今日なのでしょう。
今日は…何かあった日なのでしょうか?
「セラ」
「!キョウ兄様」
私はキョウ兄様の方を向いて問いかけました。
「キョウ兄様、何故私の誕生日が今日なのですか…?」
「え…?あぁ、うん。
俺とセラが始めてあったのって、たしか20年前の今日だろ?」
「…あ…」
そう、でした。
私とキョウ兄様があったのは…20年前の今日…。
キョウ兄様は覚えていてくれたのですね。
私は感激のあまり、兄様に抱きつきました。
いつもはこんな事は絶対にしませんけれど…。
「セラ、誕生日おめでとう」
兄様は私をちゃんと抱きとめてくれて…。
「ありがとうございます…」
暖かな腕の中。
私は大切なプレゼントを兄様に貰った。
「セラ、はいコレ」
「これは…?」
兄様が渡して下さったのは小さな宝石のついたブレスレットでした。
何処かで見た事があるような気がします。
ふと、兄様がいつもつけていたブレスレットがないことに気がつきました。
「…兄様…このブレスレットは…」
「あぁ…やっぱ新しいのが良かった?セラが昔コレを欲しそうに見てたの思い出して…」
「いいのですか…?これ…兄様がずっとつけていたものだと…」
「別にいいよ。それに特別な思い入れがあるわけじゃないし」
兄様は私の頭を撫でながらそういってくれました。
私は嬉しくて、けれど半分…申し訳なくて。
「セラ」
「ルック様」
ルック様は長細い箱を下さいました。
それを開けてみると中にネックレスが入っていました。
そのネックレスはキョウ兄様に貰ったブレスレットと同じ宝石がついていました。
「…ルック様」
「キョウ、つけてあげなよ」
「俺?…分かった」
キョウ兄様は私の手の中からそれを取ると正面に立ちました。
正面に…立つって、兄様。
「っと…セラ、今痛くなかった?」
「え…?」
「あぁ、引っ掻いたかと思って」
そういいながらも手を止めない兄様。
直にネックレスをつけると数歩下がって私を見ました。
「どう?」
「いいんじゃない?」
ルック様とキョウ兄様がそう言ってました。
私はどうしていいのかわからず、慌てていました。
「あ」
キョウ兄様が近付いてきて私の頬に手を当てました。
私は何をしているのか分からずにルック様を見ていました。
「っ!?」
突然、キョウ兄様が頬を舐めました。
「キョウ兄様っ…!?何を…!」
「ごめん、やっぱ引っ掻いてたみたい」
そういって私の頬を撫でました。
「あー…痕残るかな?ルック」
「残るんじゃない?」
「げ…」
ルック様は笑っていて、キョウ兄様は本当に焦った様子で。
「キョウ、セラに傷が残ってたら君が責任を取るんだよ」
「…それって、俺がセラと結婚しろって事?」
「そのほうが手っ取り早いね」
キョウ兄様が…私を?
そんな事有り得ません。
だって…キョウ兄様には好きな方がいらっしゃるのですから。
「俺は歓迎するけど、セラが可哀想だろ?俺なんかとさ」
「そんなことありませんっ」
私は無意識のうちにキョウ兄様の服を掴んでいました。
それに驚いたのか、キョウ兄様は私を見て唖然としていました。
「…セラ、それ本気で言ってる?」
「はい」
「……ルック、俺がセラをお嫁さんにしていいの?」
「君達がいいなら、僕は全然かまわないけどね。今まで通りなんだし」
キョウ兄様こそ、本気なのでしょうか?
貴方には他に好きな方がおられるのに。
私もそれを知っています。
「セラ」
「…はい」
キョウ兄様は私の額を露わにし、そこに触れるだけの
口付けをくれました。
そしていつもの綺麗な微笑とともにこう言ってくださいました。
「この話は、また今度。
好きだよ、セラ」
…ごめん、くーちゃん。
微妙すぎて涙がでるよ。
いちゃついてないし…(最低)
ま…まぁ一応誕生日ネタだし!条件クリアだよね!
あ、一万HITおめでとう☆
緤霞理鏡様より頂いちゃいました。本当は相互記念に…ということだったのですが、10000HITも祝ってもらっちゃいました。
いや、しかし。彼女の書くセラ嬢はこの上なく素敵です。
微妙じゃなくてとてもいいし、いちゃついてる(…と私はみた)
『誕生日!!』という私の微妙なリクにも応えて下さり、本当に嬉しい限りです。
緤霞ちゃんありがと〜!!
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