大切だからこそ守りたくて。

その大切なものを守るためには、戦わなくちゃ。

そうやって俺達は、戦いを繰り返す。

それによって守れるのだと。それしか守る方法がないのだと。

自分が行かないと。

 

でもどこかで。

他の誰かが終わらせてはくれないだろうかと、思っている自分がいるんだ。

ここから離れたくなんて、ないから。

時は一刻一刻近づいてくる。

 

自分が選んだこと。

一度決めたからには、後戻りなど許されない。

臆することなど。

 

それでも…

 

 

 

 

 

 

 

Farewell!!

 

 

 

 

 

 

 

 

綺麗な海。

 

子どものころの絶好の遊び場だった。

波打ち際でばたばたやってるだけでも、楽しくて。

誰もなにもしていないのに、自分の方へ向かって来たり遠ざかったり。

 

見てるだけでも飽きなかった。

 

 

 

 

「あー気持ちよさそうな泳ぎっぷり。」

 

パラソルの下で、海を眺めながら呟いた。

すいすいと海の中を、自在に泳いでいる。

 

まるで海の中でも息が出来るみたいに。

 

 

そんなふうに泳げる祐未が羨ましくない、といったら嘘になるけど。

でもそんなふうに思うよりも、それを越えるものがあるから。

 

羨みとか、妬みとか。

そういうのを全部マイナスしてもまだまだ消えないような、そんなプラスの感情。

 

それはおそらく、告げない方が正解なんだろう。

いったところでなんにもならないし、むしろ負担になるだけ。

だったらいっそ、なんのインパクトもなく消えていくほうがいい。

そんなやつがいたっけな、程度に思い出してくれたらいい。

「あぁ、でもただの昔からの知り合いとかよりも、昔からの友達、とかだったらいいな。」

 

卒業して、どっか働きに出てまったく島に帰ってこない。

それでいい。

多分一度出たらこの島には、もう二度と帰っては来れないのだろう。

それを覚悟の上での志願。

だからこうして自分のけじめをつけにきた。

 

もう見ることはないだろう光景を、最後に目に焼きつけるために。

 

 

 

 

ザバッと水がはねあがった。

纏わりつく水滴を振り払う。

 

波打った長い茶色の髪。

日の光を浴びると、もっと淡い色になって好きだった。

夕日と彼女のシルエットはため息がでるほど、様になってて。

来れてよかった、と思った。

 

 

ひとしきり泳いで気が済んだのか、彼女が歩いてくる。

ぼーっと見てた俺と目があって。

微笑まれて、笑い返した。

一抹の不安を押し隠して。

 

 

この計画の立案者は、彼女の父親。

彼女がこの計画に参加する可能性はゼロじゃない。

 

でもどうか祐未だけは。

 

彼女だけはなにも知らずに、平和の中に生きて欲しかった。

 

 

無意識に手元の砂を握り締める。

きしゃりとした、砂同士が軋むような感覚。

 

そして指の間からこぼれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頑張って更新しましょうウィーク()

一番書きたいキララクがまったく文章にならなくて、僚祐未に浮気中。

知らないうちに『僚祐未部屋』とかできてそうな勢いです…