『あのままがよかった・・・』とも思わないけれども・・・。
歌姫のFairy tale
「そっかあ、君はお医者さんになりたいんだ。」
そう茶色い髪の少年、キラは自分の左横に座っている男の子に尋ねた。
「うん!俺お医者さんになって、たくさんの困ってる人を助けるんだ。」
すると右の方からも明るい女の子の声が聞こえてきた。
キラの右側にはラクス、そしてその隣に女の子が座っている。
女の子は「私お姫様になりたいな♪」と楽しそうに笑った。
さっきの男の子に「なれるわけないだろ!」といわれながらも、女の子は主張する。
「難しいかもしれないけど絶対なれないわけじゃないもん!シンデレラだって継母や義理のお姉さんにいじめられなが
らも頑張ってたら、あんな風にお姫様になれたんだから!」
「なら貴女はシンデレラのようなお姫様になりたいのですね?」
その耳に女の子の「うん!!」という元気な声が届く。
それを聞いてラクスは続けた。
「でもお姫様はシンデレラだけではありませんわ。お伽話の中のお姫様は王子様と結ばれて、どんなに途中で辛いこ
とがあっても最後はHAPPY ENDが多いですけれど。
・・・中には人魚姫のようなお姫様もいるのですから。」
「人魚姫かぁ・・・懐かしいな。」
「あれラクス姉ちゃん、人魚姫って最後泡になるんだっけ?」とさっきの少年がラクスに尋ね
た。
「えぇ。海に身を投げて、魔女との約束どうり泡となって消えてしまう。けれどきっとそれは人魚姫だけではありませんわ。」
「・・・ラクス?」
「きっとわたくし・・・ラクス=クラインも同じ。一時平和の象徴ともてはやされても、歌を歌わなければ、人々の前に立たなければ皆の記憶から消えてゆく・・・そう、まるで泡のように。」
「たしかに・・・」とキラは口を開いた。
「ラクスの言うとおり、人々は時が経つにつれて、ラクス=クラインという平和を願った歌姫のことを忘れていってしまうかもしれない。けど僕は・・・僕が辛いときや悲しい時、くじけそうな時、そして今を支えてくれてるラクスを忘れない。たとえ周りの人が皆忘れてしまってもね。」
女の子も少し不思議そうな顔でラクスに言う。
「私ラクスお姉ちゃんだいすき。シンデレラ・・・にはなれなくってもお姉ちゃんみたいなオトナの人になりたい。そりゃラクスお姉ちゃんみたく綺麗じゃないし、歌も上手じゃないけど・・・でもお姉ちゃんみたいに優しくて、思いやりがあって、そんで誰かを支えられるようなお姫様になる!!」
「お姫様に・・・ってトコは変わんねえのかよ。」
男の子が呆れたように呟いてるそばで、ラクスはそっと顔を伏せた。
そしてキラはそっと優しく彼女の髪を梳く。
涙が一筋、白い頬を流れてゆくのを眺めながら・・・
な、なんとかおわらせました・・・すごく短いですけど。くぅ、矛盾も探すといっぱいでてきそう・・・。多めに見てやって下さい。 my.BGM:笑い者のFairy tale/angera
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